Poems & Short Pieces

短詩「私が眠っている間は」他2篇

「私が眠っている間は」

・・・・・・・・・・・・
私が眠っている間は

太陽が黄色くさわいでも

風が鞭をふりまわしても

ぜんぜん知らないこと

ただ目覚めた時、

すべてを失っていることに気づくだけ

「朝起きて、私が人魚のときは」

・・・・・・・・・・・・・・
朝起きて、私が人魚のときは

地下の海へ、深く深くおりてゆく

ほこりや傷をかきわけて

底にきらめく真珠の粒をとってくる

それは薬のように私に働きかけて

次第に

冷たくだらりとした尾ひれは乾き

熱い血液がめぐりだし

やがて2本の足になる

そうしてまた、歩き出す

胸底からかすかにたちのぼる、

潮騒にむせびながら

「風だけが、私を見た」

・・・・・・・・・・・
風だけが、私を見た

すべての角度から吹きつけて、

検分し、

そして、私をおいて消えてしまった

─なにものでもないもののうた

(2022〜2023年制作)